新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言が発令されているさ中の5月、
大哲会として今何ができるだろうか?と師匠と相談して開催した、
会員限定の「デンサ節歌詞コンテスト大会」はとても好評でした。
この経験を生かして、今後へ繋げていこうと師匠と一緒に決心して開催した
第1回「とぅばらーま歌詞コンテスト」は、10月に応募を締切り、
多くの方に応募して頂きました。
改めまして、応募して頂いた皆様に御礼申し上げます。
そして、去った11月15日に審査会を開き、厳正なる審査を行いました。
審査員は、大工哲弘(審査委員長)波照間永吉・大城学・新城亘・外間元・太田静男(石垣在のため、書類を送って頂いての審査でした)
八重山に限らず、琉球の文化、文学、音楽を牽引する錚々たるメンバー!
お名前を見ただけで、この審査会の凄さが伝わると思います。
2時間余を掛けて行われた審査会では、多くの秀作から入賞句を選出することの大変さを学びました。
〈選考基準〉としては、
- 何を伝え訴えたいのか
- とぅばらーま歌らしく旨く表現がされているのか
- 歌詞は旋律に載せられるのか
- 八重山の島ムニを巧みに使われているのか
- その他
審査員先生方、一人ひとりの選出句や選出理由、感想や意見を忌憚なく交わし、
厳正なる審査を行うことができました。
楽しみにお待ち頂いた皆様、大変お待たせ致しました!
入賞作品が決定致しましたので、発表致します。
【最優秀賞】 柿木 薫(大阪府)
声(くい)ん姿(かたつぃ)ん 宇宙(てぃん)んまでぃ
届(とぅどぅ)ぐむんぬ
肌(ぱだ)ぬヌフサー(温もり)や のーしき届ぎらるぬ」
ンゾーシー 愛し(かなすぃ)カヌシャーマーヨー
歌意:声も姿も宇宙まで(電波で)届くのに
肌のぬくもりはどうして届けられないのだろう
【優秀賞】 下地 直美(石垣市)
島(すぃま)ぬブネー(母親)や 老人(ういぴとぅ)なりねーぬ
歳(とぅすぃ)ゆ取らばん 肝や若(ばが)んげーりおーりよー」
ンゾーシーヌ 胴(どぅ)丈夫(ずぅさ) あり給り
歌意:島の母親は年を取ってしまった。
年を取っても、心は若々しくいてください。
いつまでもお元気でいてください。
【奨励賞】吉川 太希(大阪府)~イギリス在~
大海(うふどぅ)隔(ぴだ)めーるぃ
かどーなーぬ(こんなに遠く)島やりゃどぅ
とぅばらーま歌(い)ざば 肝(くぃむ)や なだらぐんさー(穏やかになる)
ンゾーシー 歌(いじ)とーらー
歌意:遠く離れた海外に住んでいると心細さや孤独を感じることがあるけれども、
とぅばらーまを歌うと心が落ち着くということを歌詞に致しました。
【佳作】№1 大濵 俊晴(石垣市)
キザリゥ(行事)や ねーんなり(無くなり) 闇(やみ)ぬ世の中)
月(つくぃ)や島々(すぃまずぃま) ピカラシ(光らして)たぼーり
ンゾーシーヌ ぴぃからしたぼーり
歌意:(村)行事がなくなり暗い世の中だけど
月が島々(世界)を光らせ(照らし)てください
んぞーしーぬ 光らせ(照らし)てください
※ピカラシ=光らす 石垣市大浜の言い方(表現方法)
【佳作】 田本 佳信(八重瀬町)
のーどぅやだー(何だったの)思い出(いだ)すぃんでん 思い出さるぬ
歳(とぅすぃ)ば取り 感飛(かんとぅ)ぶ人なりイナムヌ(無念)
ンソーシーヌー・たるん(誰も)とぅー(通)るミツィ(道)
歌意:何であったか 思い出そうとしても 思い出せない
年を取って もうろくした人になってしまい 残念
誰もが通る道
【佳作】伊藤 幸太(嘉手納町)
七十五年(にん)なでぃ(前)ぬ あぬゆむ(嫌な)戦(いく)さ
とぅばらーま詩(うた)詠み 歌じり語りょうら
ンゾーシー弥勒世 願がよーら
歌意:七十五年前の あの憎き戦争
とぅばらーまの詩でも 語り継ぎましょう
【審査員特別賞】池田 陽生(岡山県)~中学2年生~
とぅばらーま歌とぅ すぃま(島)ぬ歌や
うたぬ情きや 心んが とぅゆ(響)ましょうり
ンゾーシー我ぁーぬ肝(くぃむ)ゆ聞きたぼーり
歌意:とぅばらーまや 島唄の 歌の情けを 心に響かせます
私の心をどうぞ聴いてください
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〈講評〉
応募歌詞作品は県内外の44名から、82句が応募されました。
北海道、東京、大阪等、本土からも多くの応募がありました。
また、沖縄本島にお住いの八重山ご出身者、
何より、「とぅばらーま」と師匠の故郷、石垣島からも多くの応募があったことは、
大哲会としても大変嬉しく思っております。
また海外のイギリスからや、岡山県の中学2年生からも作品が寄せられ
入賞されました。
歌詞の内容は「コロナ禍の世相」「親子の愛」「望郷の念」「自らの老い」「不戦の誓い」「とぅばらーま賛歌」等、多彩でした。
中でも、最優秀賞の作品は、
インターネット等の通信技術は進んでも、人と人の肌の温もりは伝えられない。
現代の科学進歩と人の肌ガナサを詠んだ歌詞はスケールが大きいと評価されました。
応募された皆様、本当にありがとうございました。
惜しくも入賞から漏れてしまった作品の中にも、甲乙付け難いレベルの高い内容の句も多く、審査員を悩ませました。
開催した私どもも歌詞は勿論、選考会の開催方法など、大変多くの事を学ばせて頂きました。
また、第2回が開催できるように、大哲会も精進してまいります。
その際は是非、またご参加いただけます様お願い申し上げます。
そして、審査員の皆さま、本当にありがとうございました。
シカイトゥニーファイユ~!