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芸大講座「沖縄民俗芸能の構造」久万田晋(芸大付属研究所所長)

民俗芸能とは
民間の風俗、習慣、信仰に根ざして伝承されてきた芸能です。
古来人々は、季節の変動、旱魃、暴風雨、冷害、虫害など人間の力が及ばない
自然の中に神を見出し、神への祈りを通して五穀豊穣、子孫繁栄を願った。
人々の願望は、神への呪詞、所作などを通して年々繰り返され、歌、舞踊等の
芸能として熟成されていった。

神祭り
● 神迎え 他界、異界から神を迎える
● 神遊び 神人が神と共に舞い遊ぶ
● 神送り 他界・異界へ神を送る
● 直来  神人から人々へ神からの果報(お供え物)を分け与え、共に
歌い踊って楽しむ

各地の神祭り
● シマ・ムラ(村落)共同体の祭り
1年の重要な節目に神を迎え、豊漁豊作や子孫繁栄を願う。

● ウマチー  ?? 首里王府が村々に行わせた農耕の季節祭
麦初穂祭、麦収穫祭、稲初穂祭、稲収穫祭

● ウンガミ ???? 海、山からの来訪神を迎える、本島北部、
女性による祭祀集団によって行われる

● シヌグ   古い時代の年越し・祓いの行事、南島の夏正月
男性の祭祀集団により行われる

● 綱引き    夏正月の年占行事、厄災防除

● 宮古諸島   麦ブーズ、宮古節、スツブナカ、祖神祭

● 八重山諸島  ブーリ(豊年祭)、結願祭、シツ(節祭)、種取祭

● ウシデーク(臼太鼓) ? 神祭りの後宴(直来)として、女性による
円陣舞踊、北部様式はテンポが速く手踊りのみ中南部様式はテンポは遅く
扇や四つ竹を使う。歌詞は琉歌形式で旋律は琉球古典音楽の源流と考え
られている。

エイサー
● 太鼓エイサー  男は大太鼓・締太鼓を手に、女は手踊りを伝統民謡や
新民謡などに乗せて踊る。本島中部に分布している。

● パーランクーエイサー
うるま市・与勝半島周辺に分布、男はパーランクー・大太鼓を手に、女は
手踊り

● 男女の手踊りエイサー
本部半島周辺に分布、地謡は歌三線と平太鼓、踊り手は男女の手踊りのみ。

● 女手踊りエイサー
本島北部国頭村西海岸、大宜味村に分布、地謡は鋲打太鼓のみ、踊り手は
女性のみで太鼓なし。緩急の曲を交互に踊る。

● エイサー楽曲
エイサーで演奏される楽曲は、盆の行事であることから、基本的には
念仏歌、無蔵歌などの念仏系の曲と酒乞い歌、一合二合(ピーラルラー、
サウエン)などの曲である。

モー遊び系のポピュラーな民謡、久高万寿主、いちゅび小、うみやから、
スーリ東、今帰仁ぬ城、越来ヨーテンヨウ節、あやぐ、めでたい節、唐船ドーイ

戦後の作品、花ぬ風車、安里屋ユンタ、豊節など

● エイサーは当初の手踊りから太鼓主体のエイサーへ広がりつつあり、
演唱歌詞も、継親念仏歌などは1~43番まであって長すぎるるため、
短縮化が図られている。また、女性の積極的参加、マンサージ、ウッチャキ、
白黒脚絆などエイサー衣装も華やかになり、従来の輪踊りから観衆に見せる
隊列踊りへ変化し、演奏楽曲も新(創作)民謡等も積極的に導入している。

● 創作エイサー 
近年、本来盆行事であったエイサーは、若い人たちの参加により、華やかな
衣装、新民謡、沖縄ポップス等の導入、創作的な舞踊等、観衆を意識した
パフォ―マンスで、婦人、子供への波及、全国の学校教育への導入、組織も
県内外、海外(米本土、ハワイ、南米等)へも波及して、隆盛を極めている。

ペーチン