大哲会ブログDaitetsukai Blog

いやり節(伝言)

この歌は流罪になった男の、望郷の念、肉親への思いを「鳥でさえも
ウリズン(若夏)の季節になれば、けたたましい鳴き声を響かせて飛んで
くるというのに、私はこの島から出ていくことはできず、なつかしい両親に
会うこともできません。悲しくて心は折れそうです。」と悲嘆にくれている
心情を、切々と南風に託して故郷の石垣へ届けてほしいと歌っている。

あはれ秋風よ
情(こころ)あらば伝えてよ
男ありて
今日の夕餉に
ひとりさんまを食らいて
おもいにふけると

これは佐藤春夫のおなじみ「秋刀魚のうた」の一節ですが、同じ伝言でも、
春夫のおもいは人妻への恋の悩みらしい。

ペーチン