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琉球民謡音楽協会 研修会

昨日(5月15日)に、琉球民謡音楽協会の研修があり参加致しました。

講師は上原直彦先生です。

5月15日、沖縄本土復帰というとても大切な日に行われる講演となりました。復帰44周年を迎えることとなります。

本土復帰のお話しから、講演は始まりました。会場には、小中高校生も参加していましたが、今日が本土復帰の日であることを知らない子供達もいました。上原先生からは、その時代時代にどんな事が起こったのか?どのような背景があったのか、しっかりと後世に伝えていくことの大切さが語られました。

1972年の本土復帰の際、返還はされるが米軍基地は残すなど、様々な条件付きでした。政府から、沖縄の学校の子供たちに計20万個の記念のメダルが配られることになっていたようです。しかし、「差別的な扱いを受けて何が記念だ!!」と反発があり実際には半分程しか配られなかったとのことです。

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これが実際のメダルです。上原先生が持ってこられていました。

どんなことが起こっていたのか?知ることにより立ち止まって考えさせられます。唄も同じです。時代の背景、時代の流れを伝えていかないといけないと、上原先生はお話しされていました。

話は少し変わって県花である”デイゴ”について。ちょうど今が見ごろの時期です。デイゴは、インド原産だそうで八重山では、”よーら”とか”ゆら”と言われるそうです。”よーら”はインドの言葉がそのまま使われているようです。”ゆら”というと”赤ゆら”。馴染みある桃里節が紹介されました。赤ゆらは三番に出てきます。

三、赤ゆらぬ花や、二、三月どぅ咲ちゅる 吾がけーらぬ花や 何時ん咲ちゅさ

(デイゴの花は二、三月ごろに真赤に咲くが、私たちの心の花はいつも咲いている)

 

”伊集(イジュ)の花”も梅雨の時期に咲く花です。清楚な白い花です。

イジュの花

伊集の花は、辺野喜節(びぬち節)に出てくるそうです。

伊集の花や あん清らさ咲ちゅい 我身も伊集やとて 真白咲かな

(伊集の花は真っ白に咲いて美しい。私も伊集のように真っ白く美しく咲きたい)

これを誰が唄ったのか?ということですが、琉球王朝のある王妃が「もし私が伊集の花のように真っ白で美しければ、王の愛を取り戻せたのに・・・」という悲痛の思いを唄ったそうです。当時、王は妾を20人以上かこっていたそうで、年々年をとって王の愛が離れていく悔しさを王妃は感じていたようです。ただ、その当時は国を守るために跡継ぎをしっかり作らないといけないということから、多くの妾をかこっていたという時代背景もあったということです。

 

3曲目は童神が紹介されました。

子供を授かったら、5~6歳ぐらいまでは、子供は神様の預かりものである。命をかけて、神から預かった子供を育てていかないといけない。という意味が唄の中に含まれているとのことでした。

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童神を唄う山川先生

 

上原先生より、唄をひとつひとつ丁寧に検証していくと時代背景が見えてくる。何を唄っているのか?どんな気持ちで唄えばいいのか?どんな唄にも歴史がある。疑問や気づきを追及することで歴史が見えてくる。そうすると自信を持って唄えるようになってくる。自信をもって表現できるようになってくる。そして過去は過ぎてなくなるものではない。現在、未来のためにある。しっかりと勉強して後輩に伝えていって下さいとお話しされていました。

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講演する上原直彦先生

 

会場と対話をしながら、とても楽しく、そしてとても考えさせられる講演会でした。

もっといい声で唄えるようになりたい!とか、もっと上手に三線を弾けるようになりたい!とか上辺の部分ではなく、歴史を知り、当時の人たちの想いを感じ、一つ一つの唄を大切にしていきたいと感じました。