11月10日に、てだこホールで上演された「沖縄のウタ拝」を鑑賞してきました。
この企画は、ピアニストの辺士名直子さんが2015年にスタートさせ、唄、映像、踊りなど、様々な分野のパフォーマーが表現する「沖縄」を融合させ、それを観た観客に問いかけていくというものです。
パフォーマーは、Coccoや、声楽家の糸数知さん、琉球古典音楽の大城建大郎さんなど、多彩な顔ぶれで、ゲストとして、琉球古典音楽の唄者や筝奏者もステージを盛り上げました。
また、ステージのバックに映し出された写真や絵画などの映像についても、各分野の芸術家が作品を提供しました。
公演は、辺士名さんとCoccoがほぼ出づっぱりで、オリジナル曲をはじめ、揚作田節、てぃんさぐぬ花、屋嘉節、国頭サバクイ、多幸山、そして、八重山うたからは月ぬ美しゃが、三線、筝、ピアノ、ベース、ドラムスなどにより、さまざまなアレンジで披露されました。
それぞれのパフォーマンスの背景には、沖縄戦の写真や映像、沖縄の美しい風景、丸木位里・俊さんの「沖縄戦の図」や抽象画などの絵画などが絶えず投影され、観客に訴えかけてきました。
それらの表現の中に貫かれているものは、平和への祈り、未来を担う世代に紡いでいくべき大切なものであり、そのことがステージ全体を通して伝わってきました。
今回考えさせられたのは、表現としての音楽の可能性(私たちで言えば、八重山うたを学んでいることで、何をどうやって伝えていくことができるか)、そして、たとえば、八重山うたの公演を行った場合に、バックに唄をイメージできる映像を流して、観客によりわかりやすく伝えることができるのではないかといった発想でした。
また、大城さんが、ポップな曲でも、三線を演奏しながら、ほかの演者と一緒にポーズを決めたりするなど、従来の発想にとらわれない斬新な表現方法も、大変興味深かったです。
このステージは、今後、東京や大阪でも上演されるので、ご興味を持たれた方は、ご覧になってみてはいかがでしょうか?
中田 光太郎