数年前から粟国島の古謡を消滅させてはならないと
粟国村で計画されていた「シターリ節の歌碑」にメロディボックスとしてQRコードを翳すと
「シターリ節」の歌が聞こえる装置を6月中に設置することが村議会で決定され、
いま着々とその準備がすすめられております。
その初段階として「シターリ節」の歌の吹き込み(録音)が先日、
首里にあるパワーステーションのスタジオで行ないました。
『シターリ節』歌詞は100集くらいありますが
即興で歌われますので無限にこれからも作られます。
下記の歌詞は昔から島で歌われている主な歌詞です。
1、黒石崎(くるしざち)までぃや 母親に(あんま)送らりてぃ
シターリあんとぅ走い出らば 御風(みかじ)頼ま
※サーサァーカリユシ
2,船や綱取やい 錨持ち上ぎてぃ
シターリ真南風(まふぇ)ぬ風頼てぃ 那覇ぬ港
※
3,旅行かば生し子 意地ひくな生し子
シターリ千人ぬ意地り 持ちゃいたぼり
※
4,果報ちきよ 生し子 名誉ちきよ生し子
シターリ母親(あんま)が願ゆぐとぅ 身分ちきよ
※
完成したら、粟国島に来島された際は是非港に建立されている
歌碑に立ち寄り「シターリ節」を聞いて昔の惜別の風景を想像しながら情緒
溢れるシターリ節を多くの人達に聞いていただければ幸いです。
さて「シターリ節」とは?
粟国島には中学校までしかなく、高校に進学するには島を出なければなりません。
新緑が芽吹き始める3月、わずか15歳で島を離れていくこども達を、かって港
で見送る母親や祖母たちが、自分の胸の思いを即興で歌った歌が「シターリ節」です。
「これから出会う人々と心を合せ、良き結果が得られるように、心は平和で、体は頑丈、智恵を
磨き頑張る力が備わりますように」シターリ節にはわが子を見守る親の情愛が込められており、
島を出ていく子ども達の心には歌の歌詞とメロディーがしっかりと刻まれます。
港を出た船は那覇を目指します。小さくなっていく子ども故郷から言い知れぬ
シターリ節のパワーが呼び掛け、志に火が付き、流した涙はやる気にかわります。
「やってみるか、やってみろ、君ならできる、負けるな」と自らを鼓舞して那覇泊港に上陸するこども達、
たとえわずかな少年時代であっても故郷粟国島はいつまでも心の中で生きています。
シターリー節は人生の応援歌であり、「十五の春」の島立ちの際に少年時代の故郷に
別れを告げ別離のさみしさを希望に変えて青雲の志を胸に「立志の心」で旅立つ原点の歌なのです。
粟国村では「シターリ節」をこれからも村民の教訓歌として大切に受け継いでいくために、
歌碑を建立しました。(令和3年度の粟国村発行の村勢要覧より)
先月、シターリ節をたどりNHK総合で「旅立ちの歌をもう一度~沖縄・粟国島~」
番組が全国放送されました。
観た方も多いでしょう。
感動したと沢山の声が寄せられました。
何はともあれ完成が待ち遠しいです。