和歌山県の民謡に「熊野川筏節」というのがある。
和歌山と三重県の境を流れ源は奈良県の天の川、上流は十津川、途中で北山川を合せ、新宮市で熊野灘に注ぐ
183㌔の川のことだが、その川を利用し木材を運ぶ筏流しの際に歌われた歴史ある名曲「筏節」。
♪和歌山と奈良と三重との境を流れ
景色優れし アリャ熊野川 ヨイショ
瀞(どろ)の流れもよアリャ九里峡も流してマタ
いきます筏節 チョイチョイ
その歌がなんと朝鮮の鴨綠江(おりょこ)に出稼ぎに行った(1912~1926)筏師たちがうたい始めた俗謡
「鴨綠江節」である。
この歌が和歌山県の民謡熊野川筏節と異名同曲ということを知ることができる。
中国では「ヤール川」と呼び水の色が鴨の頭の色に似ていることが鴨綠と称され朝鮮半島の北西端、
中国と朝鮮の国境をなす大川のことである。
♪朝鮮と支那との境はのアノ鴨綠江
流す筏はよ アリャよけれども ヨイショ
雪や氷によ アリャ閉ざされてヨ
明日は又 新義州に
着きかねる チョイチョイ チョイヤーナー
鴨綠江節が、どういう訳が戦後八重山で大いに歌われたていたのだ。
中でも石垣島の宮良村では祝座や宴会などでは踊りも入れて歌っていた。
義父や伯父などが得意な歌として謡っていたのを愚生は「見習り聞き習り」して
覚え唄えるようになりレパートリーにも入れCDアルバム(オフノート)1996年発売
「ジンターナショナル」にもカバーしております。(ご参照まで)
ーーーまた和歌山県の民謡「串本節」も石垣四カ字や白保村の旧盆に行なわれる
「アンガマ精霊巡り」踊の中にも青年会がよく歌ったり踊ったりしていた記憶があります。
今回和歌山県のすさみ町でコンサートをさせていただいてはじめて地元で「熊野川筏節」「串本節」を下手な横好きで
歌わせていただいた。残念ながら「熊野川筏節」を知っている人が客の中でいなかった。
ただ、「熊野川筏節」と「鴨綠江節」の流れルーツをくみ取れた歌を地元のコンサートで歌った価値はあった。
予断だが・・・
和歌山県の民謡にもう一曲「串本節」というのがある。
♪ここは串本向いは大島 中をとりもつ巡航船
アラヨイショヨイショ ヨイショヨイショヨイヨイ
歌うと会場から全員手拍子囃子(ハァーオッチャヤーレー)が
客から大合唱が出るほど会場は大いに盛り上がった。
この客とのグルーブ感は歌い手にとって何よりのご褒美なのであると
同時に地元で歌わせていただいているという共有感、現実感・優しさと地元
民謡のパワーを感じた瞬間なのである。
それにしても故郷八重山という島は六調節をはじめ大和の俗謡を沢山とり入れて
自分達の歌にして楽しんきた歌の包容力に感心しました。
和歌山県すさみでのコンサートで改めて民謡の魅力に接した。
これからも大いに歌わせていただきます。